涙が出る

誰にだってある、辛いこと、悲しいこと。

私の姉は摂食障害。実家に住んでいたときはそれで散々嫌な思いもした。ずっと家を出たいと思っていた。

もともと姉は神経質な性格で、それはきっとうちの嫁姑関係とか、あまりよくない人間関係で形成されてしまったものなのだろうけど、内弁慶外地蔵もいいところで。１０も姉より年下の私にとって、小さい頃から姉はずっと脅威の存在だった。姉が病気になる前から嫌で嫌で仕方なかった。いつもおびえていた。安心したいとずっと思って生きてきた。目が合うと気持ち悪いといわれて、足がぶつかるとけられて、夜はガンガンにＣＤをかけている。

姉が摂食障害になってからの生活は更にひどくて、もう生活が成り立たない。姉は食べて吐いての繰り返し、そのうち私にいっぱいものを食べさせるようになって、拒否るとキレて、私は１０キロも太った。ついに我慢も限界に来て文句を言ったら今度はその矛先がうちの犬へ。ぶくぶく太って彼は結局死んでしまった。かわいそうな彼。何の罪もないのに犠牲になって。お前が死ねばいいのにと正直思った。大嫌い。

お金や物が盗まれた。大切なものは家において置けない。ずっと持ち歩くか他の場所へしまうか。鍵をかけてしまっておいても、壊して持っていってしまうのだから。

夜は２階でガンガン音を立てる。それは我慢できた。耐えられなかったのは汚物を撒き散らすこと。家族の布団や洗濯物、食器にまで・・・。汚物のにおいで気が狂いそうだった。そんなくさい布団でどうやって寝られるの？誰がそんな汚いお箸を使って食事が出来るの？

食事だってきれいには出てこない。全部つまみ食いされている。正直食べる気がしない。でも食べないと騒ぐから我慢する。もうこっちが死にたい。

２,３度姉は救急車で運ばれた。やせすぎで。このまま帰ってこなければいいのにと思った。私の黒い気持ちはどんどんどんどん膨らんでいく。

高校のときは友達の家によく行っていた。家に帰りたくなかったから。勉強なんて落ち着いて出来ないから、友達の家で一緒にやった。とても助けてもらった。ありがとう。

大学に入って念願の一人暮らし。「一番辛いのは本人だから」とよくいうけれど、それはわからないではないけれど、でも私にとってはもう理不尽以外の何ものでもなくて、そんな状況で冷静にいられるわけもないじゃないか。家で一緒にまだ姉と暮らす両親の苦労ははかり知れない。私も助けなければならないのだとはわかっている。けれど出来ないんだ。そんなに強い人間ではないんだ。私は私は弱くて自分本位で嫌なことから逃げ出したくて・・・

 

思い出すと涙が出る。一人暮らしをして、楽しくしているとすっかり忘れてしまった感覚になるけど、全然そんなことはなくて、今でも鮮明に思い出せる。苦しい思い。

いつか私は強くなれるのだろうか。